カトリック神戸中央教会

Kobe Central

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赤波江 豊神父
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黙想のヒント 待降節第1主日A年

「あなたがたも用意していなさい」(マタイ24:44)

11月死者の月も間もなく終えようとしています。今月墓参に行かれた方も多いでしょう。
墓地で一人一人の墓碑を見ていると、不思議と人への嫉妬や不相応な欲望が消えていくのを感じます。死ほど人間が平等であることを感じさせるものはありません。
だからと言って、人間どのように生きても、結局は皆同じだというわけではありません。

私たちには一人一人、人生の使命を全うするための大切な指針が必要です。
それは自分の人生の終わりを思い描くということです。
そこで自分にとって本当に大切なことを見極め、そこから今の生き方を決定することです。
人生の終わりを思い描くことから、人生について考えるということは、目的地を明確にしてから第一歩を踏み出すことです。
目的地が分かれば、今自分がどこにいるか分かります。そのことで、正しい方向性も自ずと見えてくるでしょう。

私たちは仕事に追われ、活動の罠にいとも簡単にはまりやすいのです。
成功への梯子を登り続けているつもりでも、頂上に到達して初めて、その梯子が間違った壁に掛けられていたこともあります。
成功のためにと思って犠牲にしたことが、実は成功よりもはるかに大切なものであったことに、ある日突然気づかされます。
しかし、自分にとって本当に大切なものを見出し、その指針に従って日々生活していれば、私たちの人生は大きく変わるでしょう。

考えを変えるということは、人生を変えることです。そのため、私たちの人生の終わりを思い描くことから始めてこそ、本当に大切なものを見極めることができるのです。
ロヨラのイグナチオも自分の臨終の姿を想起せよ、そこで本当に満足して死ぬことができるか、それを人生の行動の指針とせよと命じています。

今、ある葬儀ミサの光景を思い浮かべてください。
あなたは今その教会に向かって急いでいます。そして棺の中の亡くなった方に最後の挨拶をしようとします。
ところが、何とその人は自分自身だったのです。周囲では親戚や知人があなたの思い出話をしています。そしてミサの最後に友人の一人があなたの弔辞を述べようとしています。
思い浮かべていただきたい光景はここまでです。

さてあなたはこの友人に、自分のことについてどんな弔辞を述べてほしいか、真剣に考えてみてください。
それがあなたの心の奥底にある真実な価値観ではないでしょうか。
そして、その弔辞の内容をこれからの行動の指針としてください。
それは今まで自分が描いていた道とは違っているかも知れません。
しかし、終わりを思い描くことによって、もしあなたが今間違った壁に梯子を掛けようとしていたのなら、それを正しい壁に掛け直すことによって、人生の本当の価値を知ることができるでしょう。

だからこそイエスは「あなたがたも用意していなさい」と言いました。
「思いの種を蒔き、行動を刈り取る。行動の種を蒔き、習慣を刈り取る。習慣の種を蒔き、人格を刈り取る。人格の種を蒔き、運命を刈り取る」という格言もあります。

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